不思議な名前の「どりこの饅頭」。大正元(1912)年創業の老舗、みなみざわ菓子舗が作る、長い間親しまれているおいしい芦別銘菓です。でもどう考えても名前の意味がわからない、謎のお菓子。果たして「どりこの」とは?
昭和5(1930)年ごろ、日本中を熱狂させた1本の甘い飲み物がありました。それこそが「どりこの」。高価な飲み物でしたが滋養飲料の売り文句で、栄養状態が良くなかったであろう当時、大ブームを呼びます。しかしレシピが現存せず、昭和45(1970)年の終売から数えても約50年が経過しており、今では幻の飲み物になってしまいました。
このように「どりこの」だけでも謎が多いのに、それが饅頭とはどういうことでしょうか?店主の南澤常雄さんが話してくれました。「『どりこの饅頭』は親父(先代)が作りました。最初は本当に『どりこの』を生地に混ぜていたんですよ。『どりこの』は値段が高かったので、饅頭に入れてみなさんに味わってもらおうと思ったんですね」。成り立ちは納得ですが、なぜ芦別にあるのかという謎は残ります。
実は「どりこの」が人気の時代には、全国にこうしたお菓子が点在していました。本物がなくなってお菓子をやめる店が多い中、北海道では芦別のみなみざわ菓子舗だけが残ったのです。
「人気があったから作り続けたみたいです。今はもちろん『どりこの』は入っていないけど、高齢の方は名前で懐かしんでくれますよ」と言う南澤さん。本物の「どりこの」の味をご存知かと思い聞いてみると「お客さんにもよく聞かれるんですけどね。私も飲んだことがないのでわからないんですよ(笑)」と、やっぱり謎でした。
由来はともかく「どりこの饅頭」は、ほっこりした食感で甘さ控えめの黄身あんと、香ばしい皮が絶妙にマッチする素朴なおいしさ。南澤さんに聞いたウンチクを披露しながら、みんなで楽しく食べてください。
(左)みなみざわ菓子舗 店主・南澤常雄さんご夫妻。
ちなみに不思議な「どりこの」の名前は、開発者の名前から少しずつ音をとってつけられたもの。さらに販売していたのはなぜか大手出版社の講談社と、調べるほどに面白い飲み物です。
芦別市南1条西1丁目1番地13
問合せ/0124-22-2270