単板加工のほか、今では「木の素材屋さん」として、チップや丸太などさまざまな木材をネット販売もしている木材工場が「道央ランバー株式会社」です。扱う木材は多岐に及びますが、その中で、以前から野球のバットに使う木材を販売していました。そして今や素材に飽き足らず、自らのブランドを冠した木製バットの製作販売も行っています。
「昔から北海道は、バットの材料となるアオダモという木の産地でした」と語るのは、道央ランバーネット販売担当の薮崇さん。社長の薮征治さんの息子さんです。アオダモはバットの材料として最高級とされますが、国内では激減。バットのメーカーは、大手スポーツメーカーのほかにはあまり見かけません。これについては「小さい会社が大手の下請けで作ることが多いんですよね」とのこと。ということは、道央ランバーのように独自ブランドでバットを作る小さな会社自体、全国的にも珍しい存在といえそうです。
「バットの材料となる木材の販売はしていました。でも木材の値上がりで、採算が合わなくなってきたんです。それなら材料を売るだけじゃなく、製品、つまりバットまで作ったほうがいいのではないかということで、平成25(2013)年くらいから始めました」。芦別産バットの誕生には、農業などの六次産業化にも通じるユニークな発想がありました。
(左)バットになる直前の木材。スポーツメーカーに販売するときはこの状態です。(右)木材をこの工作機械で回転させながら、バットの形に削り出します。工作機械はすべて薮征治さん(社長)の手づくりです。
道央ランバーのバットは、現在は主にアマチュア選手が使っていますが、プロ野球でも練習用に使う選手が出てきています。材料は、今はほとんど使えなくなったアオダモに変わり、品質のそっくりなトネリコのほか、クリやサクラなどさまざまな木を試しています。
「いつか、プロ野球の公式バットにしたいという夢を持って作っています」という薮さん。使っている選手からは好評とのことで、北海道日本ハムファイターズの選手が、芦別産バットで特大ホームランをかっとばす日も遠くないかもしれません。購入は「木の素材屋さん」ホームページでどうぞ。
(左上)ブランド名は「WILD AXE」(ワイルドアックス)。ロゴは芦別の造形作家・吉岡滋人さんのデザインです。北海道の図案には、芦別市の位置に星があしらわれています。(右上)グリップに滑り止めのセラミックを塗る、画期的なアイディアも。とあるプロ選手が気に入って持ち帰ったそう。(下)道央ランバー 薮崇さん
芦別市上芦別56番地
問合せ/0124-22-5600
バット購入は下記「木の素材屋さん」通販サイトにて
http://kinosozai.com/