北海道の夏を代表するフルーツといえばメロン。北海道産メロンは赤肉、青肉問わず、全国で人気です。芦別は盆地にあり、季節ごとはもちろん1日の寒暖差が大きな気候。道内でも特に暑い夏の芦別で、猛暑の昼と肌寒いほどに涼しい夜を過ごしたメロンは、濃厚な甘みと豊かな風味が育くまれます。
芦別メロンは、芦別農業の代表作物である「地域振興作物」の一つです。
芦別メロンは、高級メロン産地の静岡県で栽培されているものと同じ「アールス系」の品種。元来が温暖な気候に適した品種なので、北海道での栽培は手間と時間がかかりますが、味と日持ちに優れています。さらに芦別メロンは他とはちょっと違う特徴があるそうで、「芦別市メロン生産組合」組合長(平成28年当時)の中村一さんに聞きました。
まずは、マスクメロン特有の網目模様(ネット)。芦別メロンはこのネットのスジの高さが、他産地よりも高く作られています。中村さんは「ネットを高くきれいに入れるには、温度調整が重要です。寒い夜から朝になり、気温が高い昼間はビニールハウスの窓を開けて温度を上げるんですが、それでメロンが『汗をかく』状態になるとネットが高くなるんです。夏が暑い芦別だからできることですね」。高くクッキリしたネットが美しい芦別メロンは、特に関西の消費者の好みに合うといいます。また暑い土地なので日持ちのよさも歓迎され、関西では人気ブランドになっています。
肝心の味については、芦別メロンは繊維質が少なくて食べやすく、甘いのが特徴です。青肉はあっさり系の味、赤肉は濃厚な甘さですね。お好みで選んでいただきたいです」。
芦別では、メロンを収穫後に水槽で洗います。これはメロンとしては珍しい作業だそうですが、中村さんによると「水に入れて浮いてくる玉が甘いので、そういうものだけを出荷しています」。芦別メロンは、出荷時からおいしさが保証されていました。
関西方面での芦別メロンは、主に贈答用の高級品として重宝されています。でも芦別市内では、時期によっては驚くほどの安い価格で販売されています。日持ちもいいので、スーパーや道の駅で見かけたら、普段より1、2個多めに買っても安心です!
(上)芦別市メロン生産組合 組合長(平成28年当時)・中村一さん。(下)芦別メロンの箱には2種類のデザインがあります。